ナガサキアゲハを福井市で採集と産卵、幼虫の飼育
 
 2010年9月16日朝方まで降り続いた雨が上がり、ようやく秋が姿を見せたような空気を感じて12時20分ごろ庭へ出ると後ろ翅がぼんやりと白い大型の黒いアゲハが南の庭から道路へ飛び出すのが見えた。初めて見たが一目でナガサキアゲハの♀と判り、急いで捕虫網を持ち道路へ出たがどこにも見えなかった残念!、庭へ戻ると目の前にナガサキアゲハが飛んでいた、落ち着いて捕虫網を一振り見事『ナガサキアゲハ♀』が網の中に入った。庭にはナガサキアゲハがいつ来ても良いようにミカンの木を何本も植えて待っていた甲斐があった。さっそくガラスケースに移してミカンの新芽に産卵するように準備をした。地球温暖化に伴い本州を北上中(北進中)のツマグロヒョウモンは庭のスミレに多数の幼虫が発生し飼育用のスミレ探しに毎日奔走している日常であるが、本種はすでに福井県嶺南地方では数年前採集報告があったが、嶺北地方の福井市で採集されたのは初めてと思われる、これも今年の猛暑も影響しているのではと思われる。
 アゲハ飼育器の中でアゲハの餌のカラスザンショウにとまるナガサキアゲハ♀、長距離を飛んできたようで後翅は相当破損しているのは写真からもわかる。写真撮影後ミカンの新芽の入ったガラスケースに移した。   
ナガサキアゲハは9月16日から9月18日にかけて68個、2頭のアゲハは9月16日だけで58個を
ミカンの葉に産卵した。画像はスキャナーで取り込みました、卵の大きさはPhotoshop 7.0 で
9月19日に測定しました。ナガサキアゲハ(大)は1.5〜1.6mm,アゲハ(小)は1.0〜1.1mmです。
 
 
 9月21日ナガサキアゲハとアゲハがほとんど同時に孵化しました。まだ孵化しない卵もありますが9月22日現在1番大きなナガサキアゲハの一齢幼虫は6mmになりました、頭部に小さな刺角を持っています。(交差法3d写真を示します) 
 9月25日:ナガサキアゲハの幼虫はミカンの葉の表面に(上段)、アゲハの幼虫はミカンの葉の裏面に集まります(下段)の写真。両種の幼虫の大きさは6〜7mm位で良く食べて元気に成長しています。 
9月30日:幼虫の大きさは約1cmになりました。18匹の体長測定の結果は次のようになりました。 
 
 ナガサキアゲハ幼虫18匹の大きさは平均9.8mm、標準偏差0.14mmでした。表と図はclick。
   幼虫の親は立派な展翅標本になり前翅開長は125mm、♀の白い斑紋の発達が弱い型でした。これは温暖化に伴う日本本土産の北上品種と思われます。それは翅の破損状態からも推察されます。
 
10月4日:画面右の幼虫は緑色が目立つ4齢となり体長2.35cm,左の3匹のうち両端の幼虫は3齢で体長1.63〜1.72cm,真ん中の色の黒みがかっているのはアゲハチョウの3齢幼虫で1.72cmでした。
 
 10月8日:ナガサキアゲハとアゲハ幼虫の比較、アゲハは成長が早く終齢幼虫も見えます。ナガサキアゲハ幼虫の大きさは3齢と4齢はかなり大きさが違います特に4齢幼虫はアゲハ終齢幼虫より大きくなりました。幼虫の大きさの表と図はclick。. 
 
10月10日:ナガサキアゲハ一匹が終齢幼虫になりました(右列下から二つ目)。3D写真で表示。
幼虫の大きさの表と図はclick。 
 
10月13日:ナガサキアゲハ、モンキアゲハ、アゲハの3種の終齢幼虫の比較。3D写真で表示。
幼虫の大きさの表と図はcぃck。 
 
10月17日:終齢の幼虫から前蛹となりました。その場所はアゲハチョウの蛹の上でした。3D写真。 
 
10月19日:前蛹から蛹となりました。アゲハチョウの蛹と比較すると相当大きいです。来春の羽化が楽しみです。3D写真。 
 
 2011年5月15日:寒かった今年の北陸にもようやくここ数日は気温も上がりアゲハチョウ、モンキアゲハ、アオスジアゲハ、カラスアゲハに続いてようやく待ちに待った南国の蝶のナガサキアゲハの♂(雄)が福井市内の私の飼育箱の中で誕生しました。下の写真は羽化直後の裏面で翅の基部に特徴のある赤い斑点が見えます。次の写真は翅の表面で♂の特有の青い光沢のある鱗片が見えます。
 
 
 2010年5月16日:ナガサキアゲハの♀が3頭羽化しました。最初の写真は翅の裏面、その次の写真は翅の表面です、下に写っている液体は羽化するときに出た体液です。後ろに別の♀が写っています。3枚目の3D写真は同時に羽化した二頭のナガサキアゲハの♀です。枯葉は幼虫時代に食べていたミカンの葉です。
 
 2011年5月15日から17日までに羽化したナガサキアゲハ春型2♂と、親の夏型♀、次の写真はナガサキアゲハ春型4♀の展翅標本です。 
 
 
                                                        

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